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アレっ子憧れ ドーナツ屋さんの前で泣いた日

0歳児に多いアレルゲンは卵・牛乳・小麦、1-2歳児になると、卵、クルミ、牛乳、イクラ、落花生、小麦と続きます。

ドーナツの原材料は小麦粉、砂糖、卵、牛乳、バター、ベーキングパウダー…。やはりアレっ子にとってはハードルの高い存在です。

普段は和菓子中心のおやつ

息子が2歳の頃、乳製品・小麦・生卵のアレルギーがありました。そのため、食べられるおやつと言えばこんなものが中心でした。

せんべい、最中、干し芋、ラムネ、ポテトチップス、氷菓…

グミやジュース、ガム、キャンディーは食べられるものが多くありましたが、虫歯が心配だったのでできるだけ控えていました。

そうなると、やはり洋菓子はほとんど食べられません。

クッキー、アイスクリーム、シュークリーム、チョコレート、ケーキ・・・。どれも見た目がカラフルでいかにも美味しそうですが、息子は食べることが出来ませんでした。

「これ、良い?」と聞いてくる息子

スーパーでお菓子売り場を歩くと、息子は好きなキャラクターが描かれたお菓子を見つけて「これ、良い?」と聞いてきます。

でも、その多くは食べられないもの。

「ごめんね、食べられないんだ…」と伝えると、息子は納得したようにお菓子を棚に戻してくれました。しかし、そんな姿を見るたびに胸が締め付けられる思いがして、だんだんとお菓子売り場を避けるようになりました。

美味しいお菓子がまだまだあること、そしてその多くが食べられないことを息子に知られるのも怖かったです。

ドーナツ屋さんの前で泣かれた日

ある日、息子と一緒にショッピングモールへ行ったときのこと。フードコートの端にあの「ドーナツ屋さん」がありました。絶対に食べられるものがないと分かっていた私は、できるだけ息子にその存在を知られまいとフードコートから出るつもりでいました。

でも、ついに見つかってしまったのです。

いつものように「ごめんね、食べられないんだ‥」と伝えてその場を離れようとした瞬間、息子が大声で泣きだしました。

それまで、素直に食べられないものを受け入れていた息子が、あれほど感情をあらわにしたのは初めてでした。

その時は、周囲の目もあり泣く息子をなだめて帰宅しましたが、息子が寝た後、涙があふれてきました。

本当はずっと我慢していた

息子はいつも本当は食べたいのに我慢していた…。

いつも素直に言うことを聞いていたのは、私に気を遣っていたからだろう。

好きなものを思う存分食べさせてあげられない悔しさ、どうしようもない無力感が一気に押し寄せてきました。

「本当は私だって食べさせたい!!」「たくさんの美味しそうなお菓子から好きなものを選ばせてあげたい!!」

ずっと抑えてきた感情があふれて止まりませんでした。

最後にメッセージ

食物アレルギーのある子どもたちは、日常の中でたくさんの「我慢」を経験しています。そしてその姿を見守る親もまた、涙を流しながらできることを必死に模索しています。

子どもは何も悪くないのに、なぜこんな思いをしなければならないのか。そんなふうに感じたことが、一度もない親はいないと思います。

だから、私も少しでも食事やおやつの時間が楽しい記憶になるようにと、手作りのおやつを作ったり、アレルギー対応のお菓子を探して取り寄せたり、できる限りの工夫をしてきました。

そのおかげか、15歳になる息子はとても忍耐強く、優しい子に育っています。
私の周りにいるアレっ子たちも、みんな同じように、思いやり深く育っていると感じます。

食物アレルギーは簡単にはよくなりません。だから、せめて社会全体が「食べられない子がいる」ことを理解し、すべての子どもが安心して「食」を楽しめる未来になりますように。

心からそう願っています。

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