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食物アレルギーは治るのか~15年向き合ってきた母から伝えたいこと~

この記事でわかること

・食物アレルギーは治るのか

・免疫療法を数年続けた結果

・治療を続けるコツ

食物アレルギーは治るのか

これは、今まさに食物アレルギーのお子さんを育てている親御さんにとって一番気になっていることではないでしょうか。私自身がそうでした。

本を読み漁り、先輩ママに話を聞き、アレルギーが良くなったと聞けば、それを希望にして治療を進めてきました。

食物アレルギー治療は長期間に渡ることも多く、子どもも見守る親も苦しい時があるもの。それでも希望を持って欲しいと思い、この記事を書いています。

※本記事は筆者の実体験をもとにした記録です。治療法や経過には個人差があります。医療行為や治療方針については、必ず医師の診断・指導に従ってください。

息子の免疫療法スタート

経口免疫療法とは

小児アレルギー学会の資料によると、
経口免疫療法とは「自然経過では早期に耐性獲得が期待できない症例に対して、事前の食物経口負荷試験で症状誘発閾値(※1)を確認した後に原因食物を医師の指導のもとで継続的に経口摂取させ、脱感作(※2)状態や持続的無反応の状態とした上で、究極的には耐性獲得を目指す治療」
とされています。
※1 症状誘発閾値: アレルギーのある人が食べ物や物質を摂取したときに症状が出る最小の量
※2 脱感作:体がアレルゲンに対して反応しにくくなる状態

参考: アレルギーガイドライン2021 ダイジェスト版 第11章 経口免疫療法

卵や牛乳などのアレルゲンを少量から始め、徐々に量を増やして体を慣らしていく治療法です。

医師の指導のもとで安全に行うことが重要で、全ての子どもが完全に治るわけではありませんが、重篤な症状を防ぎながら少しずつ食べられる範囲を広げていくことができます。

経口免疫療法のスタート量

アレルゲンを摂取する量が多ければ多いほど症状が重症化しやすいため、安全面に配慮して少量から始めます。
一度症状が出てしまうと、子ども自身も親も治療を進めるのが怖くなってしまいます。スタート量や増量のタイミングは、必ず医師と相談し決定するようにしましょう。

◆息子のスタート量◆
・卵:フリーズドライ全卵5ml(1歳~)
・小麦:ゆでうどん0.1g(2歳~)
・牛乳:本仕込食パン32分の1(牛乳に換算すると約0.1ml)(5歳~)

それが、数年経って以下のように進みました。
・1歳半で加熱卵1個クリア
・年中(5歳)でうどん1玉クリア
・中学1年生(12歳)で牛乳200mlクリア

いかがでしょうか?思ったよりゆっくりで先が長いと感じますか?

私は順調だと感じています

息子が治療を始めたのはまだ幼い頃でした。「このペースで進めばあと何年かかるだろう」と計算しながら、「息子が20歳になるまでに」「彼女ができてデートするようになる頃までに」と夢を膨らませ、不安と戦いながら治療を続けました。

また、もし治療が順調に進まなくても、「誤食しても命にかかわらない程度まで」には進めたいと思っていました。

治療中は何度も症状が出てしまい、挫折しそうになり、医師である夫に弱音を吐いたこともあります。そんな時、夫はこう言ってくれました。

「アレルギー治療は日進月歩。今の治療法が後に間違っていたと分かっても、今最善とされている治療をするしかない。ただ何もしないより、今できることをどれだけやったかが大事。」

私は、その言葉にいつも勇気づけられ、救われてきました。

治療の変化

私たちより上の世代(2000年代初頭まで)のアレっ子たちは、完全除去を第一選択として治療してきました。それが、今は「少しずつ食べて慣らす」免疫療法へと変わってきており、今後も現在の治療法が古いと言われるようになるかもしれません。

それでも、「今できること」を信じて続けるしかありません。

うちの子はうちの子

免疫療法を始めると、進み方には大きな個人差があると感じました。

  • 子どもの体質や性格
  • 親の考え方
  • 医師の方針
  • 住んでいる地域 ・・・

息子が8歳になるまでに引っ越し2回、転院5回を経験し、地域格差にも驚きました。

アレルギー症状を誘発するリスク

また、アレルギー治療には当然アレルギー症状が出現するリスクもあります。
焦って食べさせる量を増やしてしまったり、体調が良くないのに食べさせてしまったりすれば、アレルギー症状が誘発されてしまう可能性があります。
体調が良さそうな時でも、なぜか症状が出てしまう…という時期もあります。
そんな時こそ、他人と比較するのではなく、お子さんとじっくり向き合うことが一番大事です。
15歳の息子が教えてくれたこと

息子は今15歳の中学3年生です。
半年前に突然最愛の父を亡くしましたが、しっかりと前を向き、私にとても優しく、ときには私を守ってくれる存在になりました。
私と息子の築いてきた絆は、間違いなく「一緒に治療に励んだ日々があり、食物アレルギーがあったから生まれたもの」だと感じています。

まとめ

  • 食物アレルギーは、すぐに治るとは限りません。焦らず、少しずつ前進することが大切です。
  • 他の子と比べず、親子でペースを守りながら進めましょう。
  • 治療中は医師の指導を受け、安全を最優先に。症状が出たら無理せず対応すること。
  • 家庭でできること:症状や食べた量の記録をつける、体調や変化を観察する、安心して食べられる環境を作る。

今できる最善を選ぶことで、あなたとお子さんにも、あたたかい未来が待っています。

この記事を書いた人
ただの主婦

はじめまして。82allergyと申します。
乳・卵・小麦の重度アレルギーを持つ息子を育てながら、主治医の指導のもとで治療と食事作りに奮闘してきました。
大変なことも多かったですが、そんな中でも楽しみを見つけ、前向きにアレルギーと向き合ってきました。

アレルギー育児の体験・日々の工夫・情報整理を中心に書いています。
医療従事者ではありませんが、同じようにお子さんのアレルギーに悩むご家族の励みや安心につながれば嬉しいです。

また、私は41歳のときに外科医であった最愛の夫を亡くしました。
このブログは、夫との日々を振り返りながら未来に希望を見出すためのものであり、社会とつながり続ける大切な場所でもあります。
そしていつか、このブログが息子や未来の子どもたちへの小さな手紙になればと思っています。

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